Multi-institutional AST support combining e-learning and live Internet lectures
(e-learningとインターネットライブ講義を組み合わせた多施設AST支援)

プロジェクトの背景・目的

日本では多くの医療機関においてAST(Antimicrobial stewardship team)活動が行われていますが、活動の中心となる医師や薬剤師は、体系立てた研修を受ける機会が乏しく、AST活動の質の均一化が望まれています。そこで我々はAST活動を行っている医療機関に対し、臨床感染症・微生物検査・抗菌薬などに関する事前学習用のe-learningコンテンツや、インターネットを通じたライブ講義等を提供することにより、感染症専門医不在の医療機関においても質の高いAST活動が実施できるよう研修プログラムを企画しました。

達成目標

  • 感染症診療のプロセスを理解できる
  • 血液培養陽性例に対し適切なアドバイスを行うことができる
  • 主な微生物の病原性や関連疾患について説明することできる
  • 感染症の診断確定に必要な微生物検査について理解できる
  • 検体採取・保管・搬送について説明できる
  • 微生物検査のプロセスを理解できる
  • 薬剤感受性結果について正しく解釈することができる
  • 薬剤感受性結果から耐性機序を推定することができる
  • 抗菌薬、抗真菌薬に関しそれぞれの特徴を説明し、正しく選択することができる
  • 必要な抗菌薬・抗真菌薬の採用
  • 抗菌薬に関連した有害事象について説明できる
  • 薬物血中濃度測定により正しい抗菌薬投与量を示すことができる

本プロジェクトの全体の流れ

  • 1:開始前理解度テスト

    開始前理解度テスト

  • 2:事前準備約20のテーマについてe-learningによる事前学習を行う

    事前学習用のe-learningプログラム

    主催者による模擬AST活動のライブ講義を受講する前に、e-learningによる事前学習を行う。

    【テーマ】各回20~30分程度(各テーマ毎に確認試験あり)
    • 感染症診療の原則
    • 院内細菌感染症(肺炎、尿路感染、偽膜性腸炎、創部、褥瘡感染、カテーテル、異物感染)
    • 血液培養
    • バンドルアプローチ(黄色ブドウ球菌菌血症、カンジダ真菌血症)
    • 血管留置カテーテル感染症の管理と対策
    • 主な微生物の特徴とそれに起因する感染症
    • 微生物検査における検体採取・保管・搬送
    • 感染症の診断確定に必要な微生物検査
    • 塗抹培養検査や同定薬剤感受性検査のプロセスについて
    • アンチバイオグラムの作成方法
    • 薬剤耐性菌の基礎知識(耐性機序とその検査法)
    • TDMについて(TDM学会2022ガイドラインを中心に)
    • 経口抗菌薬の適正使用
    • 抗菌薬関連有害事象について
    • 抗菌薬・抗真菌薬レクチャー(全7回)
      1. βラクタム系抗菌薬(ペニシリン系)
      2. βラクタム系抗菌薬(セフェム系・カルバペネム系)
      3. キノロン系抗菌薬
      4. マクロライド系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬
      5. その他の抗菌薬
      6. 抗MRSA薬
      7. 抗真菌薬
  • 3:主催者による模擬AST活動主催者が実際の症例をもとにライブ講義を行う

    主催側がインターネットを通じたライブ配信形式で模擬ASTを行う。実際に経験した症例をもとに、感染臓器・感染微生物・推奨する抗菌薬を整理する方法や、臨床側へのフィードバック方法についても言及する。取り扱う症例は血液培養陽性例を中心に、広域抗菌薬を経験的に使用している事例、免疫不全者における感染症事例、耐性菌感染症事例など数症例を1時間程度で解説する。

  • 4:各参加医療機関のプレゼンテーション参加医療機関が主催者に対し、自施設で加入した事例につきプレゼンテーションを行う

    実際に自施設で介入した事例を参加医療機関がプレゼンテーションを行う。主催者はプレゼンテーションを行った医療機関の規模や検査体制などを勘案しながら、より適切な介入方法がないかをディスカッションする。1症例を30分程度でディスカッション予定。

  • 5:終了時理解度テスト

    終了時理解度テスト

  • 6:総評理解度テストやプロセス指標、アウトカム指標を用いた分析結果を参加医療機関へ還元

    理解度テストやプロセス指標、アウトカム指標を用いた分析結果を参加医療機関へ還元

スケジュール

2024年4月1日~5月31日事前学習用のe-learning資料での自己学習
2024年6月1日~2024年11月30日実際の症例を用いた模擬ASTをライブ配信(3~4週毎)
2024年12月1日~2025年3月20日参加施設からのプレゼンテーション(3~4週毎)
2025年3月末総評
ページ上部へ