2024年4月1日~5月31日 | 事前学習用のe-learning資料での自己学習 |
---|---|
2024年6月1日~2024年11月30日 | 実際の症例を用いた模擬ASTをライブ配信(3~4週毎) |
2024年12月1日~2025年3月20日 | 参加施設からのプレゼンテーション(3~4週毎) |
2025年3月末 | 総評 |
プロジェクトの背景・目的
日本では多くの医療機関においてAST(Antimicrobial stewardship team)活動が行われていますが、活動の中心となる医師や薬剤師は、体系立てた研修を受ける機会が乏しく、AST活動の質の均一化が望まれています。そこで我々はAST活動を行っている医療機関に対し、臨床感染症・微生物検査・抗菌薬などに関する事前学習用のe-learningコンテンツや、インターネットを通じたライブ講義等を提供することにより、感染症専門医不在の医療機関においても質の高いAST活動が実施できるよう研修プログラムを企画しました。
達成目標
- 感染症診療のプロセスを理解できる
- 血液培養陽性例に対し適切なアドバイスを行うことができる
- 主な微生物の病原性や関連疾患について説明することできる
- 感染症の診断確定に必要な微生物検査について理解できる
- 検体採取・保管・搬送について説明できる
- 微生物検査のプロセスを理解できる
- 薬剤感受性結果について正しく解釈することができる
- 薬剤感受性結果から耐性機序を推定することができる
- 抗菌薬、抗真菌薬に関しそれぞれの特徴を説明し、正しく選択することができる
- 必要な抗菌薬・抗真菌薬の採用
- 抗菌薬に関連した有害事象について説明できる
- 薬物血中濃度測定により正しい抗菌薬投与量を示すことができる
本プロジェクトの全体の流れ
-
1:開始前理解度テスト
開始前理解度テスト
-
2:事前準備約20のテーマについてe-learningによる事前学習を行う
事前学習用のe-learningプログラム主催者による模擬AST活動のライブ講義を受講する前に、e-learningによる事前学習を行う。
【テーマ】各回20~30分程度(各テーマ毎に確認試験あり)- 感染症診療の原則
- 院内細菌感染症(肺炎、尿路感染、偽膜性腸炎、創部、褥瘡感染、カテーテル、異物感染)
- 血液培養
- バンドルアプローチ(黄色ブドウ球菌菌血症、カンジダ真菌血症)
- 血管留置カテーテル感染症の管理と対策
- 主な微生物の特徴とそれに起因する感染症
- 微生物検査における検体採取・保管・搬送
- 感染症の診断確定に必要な微生物検査
- 塗抹培養検査や同定薬剤感受性検査のプロセスについて
- アンチバイオグラムの作成方法
- 薬剤耐性菌の基礎知識(耐性機序とその検査法)
- TDMについて(TDM学会2022ガイドラインを中心に)
- 経口抗菌薬の適正使用
- 抗菌薬関連有害事象について
- 抗菌薬・抗真菌薬レクチャー(全7回)
- βラクタム系抗菌薬(ペニシリン系)
- βラクタム系抗菌薬(セフェム系・カルバペネム系)
- キノロン系抗菌薬
- マクロライド系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬
- その他の抗菌薬
- 抗MRSA薬
- 抗真菌薬
-
3:主催者による模擬AST活動主催者が実際の症例をもとにライブ講義を行う
主催側がインターネットを通じたライブ配信形式で模擬ASTを行う。実際に経験した症例をもとに、感染臓器・感染微生物・推奨する抗菌薬を整理する方法や、臨床側へのフィードバック方法についても言及する。取り扱う症例は血液培養陽性例を中心に、広域抗菌薬を経験的に使用している事例、免疫不全者における感染症事例、耐性菌感染症事例など数症例を1時間程度で解説する。
-
4:各参加医療機関のプレゼンテーション参加医療機関が主催者に対し、自施設で加入した事例につきプレゼンテーションを行う
実際に自施設で介入した事例を参加医療機関がプレゼンテーションを行う。主催者はプレゼンテーションを行った医療機関の規模や検査体制などを勘案しながら、より適切な介入方法がないかをディスカッションする。1症例を30分程度でディスカッション予定。
-
5:終了時理解度テスト
終了時理解度テスト
-
6:総評理解度テストやプロセス指標、アウトカム指標を用いた分析結果を参加医療機関へ還元
理解度テストやプロセス指標、アウトカム指標を用いた分析結果を参加医療機関へ還元